読書術の本:松岡正剛の『多読術』

『多読術』:松岡正剛著

まさに無知から未知への知の巨人の読書術

200頁ほどの親書で、編集者の質問に答える形式で書かれていて読みやすい本です。「意識と実景の二重進行」、「対角線の編集読書」、「書くモデル」、「読むモデル」、「感読レセプター」、「エディティングモデル」、「編集工学」など耳慣れない言葉があります。何度か再読して、その言葉の意味を理解して、読書術の未知を知ることが出来たような気がします。簡単に書評を書ける本ではないので、気になったところを引用して短く抜き書きしてみました。

多読と少読はつながっている

「多読」と「少読」はつながっていいる。少読がしだいに多読になるわけではなく、多読によって少読がより深まることもある。また「粗読」と「精読」を比較していつも精読の方が読書力が深まっているとはかぎりません。

本とは?

本とは長い時間をかけて世界を呑み尽くしてメディアです。本のなかに入らなかったものって殆どないでしょう。こんなメディアパッケージはほかにない。ウェブなどまだまだ勝負になりません。

本は二度読まないとホンモノになりません

読んだ本でも中身が思い出せないのがたくさんあります。それから初読当時の感想を「今日の時点」でも感じる必要がある。読書はその本の内容とは別に、いつ読んだのか、どんな気分で、どんな感受性のとき読んだのかということが密接にかかわっている。

対角線編集読書

筆者は28歳のとき「遊」という雑誌を創刊しました。その準備に民俗学、そしてその最も逆にある物理学、あたかも対角線の対にあるので「対角線の編集読書」と呼んでいる。民俗学、物理学の本を読み漁り、そのあいだにあたる本をグラデーションをなすかのように読んでいった。

読書の楽しみ

読書の楽しみは未知のパンドラの箱を開くことです。無知から未知へそれが読書の醍醐味です。

前戯は目次を読むこと

目次を見る時間はせいぜい1〜3分です。その後の読書に決定的な差をもたします。

本番の醍醐味:感読レセプター

本というのは著者が書いているわけで、われわれ読み手が持っている受容能力では理解できないことがたくさんあります。いろいろ読んでいるうちに感読レセプターができあがり、驚くほど理解できるようになります。

方法としての読書

読みながらマーキングする

自分が気になっていることがテキストのどの部分に入っているか、それを「予想しながら」読む、また「リアルタイムに感じる」ことが大切です。この二つのことをはっきりさせる方法として読みながらマーキングすることを勧めています。

読解力

著者のモデル、「書くモデル」を見極める

学者と小説家、エッセイストとノンフィクション、また書く人によって「書くモデル」が違います。「書くモデル」の特徴をつかめば、その著者の一冊が見えてくる、また他の著者の「書くモデル」に重ね合わせて、比較することができます。それが読み手独自「読者モデル」になるのです。

エディティングモデルが動いている

コミュニケーションでは「メッセージが通信されて」のではなく、「意味を交換するためのエディティングモデル」が動いていると考える。「書く」、「読む」の間に「編集する」ということでつながっている、つまりコミュニケーションは編集的につながっている。記憶は脳の特定の部分に付着局在しているものではなくて、脳の中の「場」のようなものを活用して、少しずつ図柄を動かしているのえはないか。つまり、「情報が記憶構造にあてはまっていく」のではなく、「編集構造が情報によって記憶されていく」というふうになります。

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