読書術の本:佐藤優の『読書の技法』読んで

『読書の技法』:佐藤優

結果を出すための読書の技法書です

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読書の技法

佐藤優の著者は人気で、多くの著者が本屋に山積みされています。なぜ説得力がある著書を何冊も書けるのでしょうか。「読書の技法」を読んで納得しました。著者の「速読、熟読」+「読書ノート」にあるようです。

具体的で、他の読書法の本とは内容の濃さが違います。読み方だけでなく、物の見方、考え方、表現の仕方まで視野に入れた知の技法書です。
「多読の方法」、「知識の欠損部分(基礎知識)を補う」には何を読めば良いか」、さらに「小説や漫画の読み方」についてなど、具体的に記されています。著者が引用した書名はボールドされ、引用文は囲いマークで紹介しています。引用文を読むだけでも勉強になります。

本の「はじめに」に、なぜ読書、読書法が大切か述べています。過去のような経済成長が望めない時代、何が起こるかわからない時代を生き抜くためには知力をつける必要がある。その知力をつけるためには読書が不可欠であると言っています。一部を抽出引用します。

—終身雇用制度は過去の話になった。職場における評価も、目に見える具体的数字が重視されるようになった。また、どの企業もリンガフランカ(国際語)である英語の必要性が強調され、これまで外国語と縁がなかったビジネスパーソンの不安かきたてている。——

—–最近の教養ブームの背景には、「知力を強化しなくては生き残っていけないのではないか」という日本人の集合的意識が反映していると筆者は見ている。確かに「知は力」であり、「力は知」である。知力をつけるために、不可欠なのが読書だ。——–

—-なぜ、読書術が知の技法のいちばん初めに位置づけられなければならないのだろうか。それは、人間が死を運命づけられている存在だからだ。そのために、時間が人間にとって最大の制約条件になる。少し難しい言い方をすると、人間は制約の中で、無限の可能性と不可能性を持って生きている。—–

本の目次

第一部 本はどう読むか

1–1 多読の技法

中学生から高校、大学生時代の本とのかかわり、外務省時代にロシア駐在で必要に迫られた速読、ロシアに影響を受けた「知の巨人」の膨大な読書量、根底にあった熟読による基礎知識、強靭な思考力などが述べられている。

1–2 熟読の技法

「基礎知識をつけるための基本書の熟読の技法」について述べています。熟読で基礎知識を身につけて、はじめて有効な速読ができる。「歴史」、「宗教」、「哲学」、「経済」、「政治」、「数学」、「物理」….など、特定の分野の基礎知識を得るための基本書です。一般の人は「知の巨人」のような広い分野の基本書を熟読することは難しいでしょう。でも自分の好きな分野、必要な分野の基本書を熟読することは、その後の速読にによる多読に有効にまります。基本書を選ぶにあたっては「知の巨人達」が推奨した本が参考になると思います。

1–3 速読の技法

一冊(約400ページ)5分でよむ「超速読」と一冊30分でよむ「普通の速読」
「超速読」:5分の制約を設けて読む、最初と最後、目次以外はただひたすらにページをめくる。気になる箇所は鉛筆でチェックするかポストイットを貼る。次の普通の速読をする本を選ぶための手段です。
「普通の速読」:完全主義を捨て目的意識を明確にして読むことが大事、熟読するための本を精査するための手段です。本の重要な部分を15秒/ページ、他は超速読する。

1–4 読書ノートの作り方

「ノートを作る時間があったら他の本を読んだほうがいい」「その時間はもったいない」と言う人もいるが、筆者は読んでも記憶に残らず、必要なときに引き出せないと意味はない。と述べています。大学ノートに時系列に書き出しているノートこそが、多くの著書を執筆できるデータベースとなっているのでしょう。

私はノートが苦手です。でも読んだという自己満足だけで終わっては何のための読書かわかりませんからね。

第二部 何を読めば良いか

2–1 教科書と学習参考書を使いこなす

「知識の欠損をどう見つけ、補うか」この章は参考になります。基本書と思って熟読しようにも、基本的な知識が欠損していては理解ができません。私は技術系だったので欠損している基礎知識が多くあります。高校の教科書、参考書レベルが最適と言っています。「世界史」「日本史」「経済」「国語」「数学」と教科書の引用を交え説明しています。

2–2 小説や漫画の読み方

村上春樹の『1Q84』について著者の興味深い読み方も述べられています。

第3部 本はいつ、どこで読むか

3–1 時間を圧縮する方法

有限な時間の効率良い使い方、集中力維持などのノウハウです。

読書の技法