茂木健一郎、黛まどかの『俳句脳』を読んで

『俳句脳』:茂木健一郎、黛まどか

私には自分の俳句は一句もありません。まして俳句を読んでレビューはできません。ただ素直にこの本を読みました。本の頁は2Bの鉛筆の線だらけになってしまいました。内容がが濃くて、読み終えた感動を一言で語れません。私が線を引いたところの一部を抽出を紹介します。

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脳科学者茂木健一郎と俳人黛まどかの共書です。たしかに俳句と脳は大いに関係ありそうです。「いまを一瞬の切りとる俳句」に脳はどのように関わっているのでしょうか。この本の大目次です。

第一部 俳句脳の可能性 茂木健一郎
第二部 ひらめきと美意識ー俳句脳対談 茂木健一郎
第三部 俳句脳ーひらめきと余白

茂木健一郎は「クオリア」をライフワークとしている。クオリア(ラテン語で「質」、「状態」を意味する) とは、「今、ここ」で感じられて、あっという間に過ぎ去ってしまう質感です。この言葉をキーワードに「意識はどのように生まれているのか」を解き明かすこをライフワークにしています。黛まどかさんとの対談で、ある言葉に向かうことでも、この知覚の正体に近づくことができるということを、改めて知った。それが、俳句であった。と述べています。難しいですね、でもボンヤリながら分かるような気がします。

茂木健一郎

五・七・五という余韻

菫程小さき人に生まれたし 夏目漱石
この五・七・五から生まれている静かな余韻は、漱石という人物を幾重にも想像させる。漱石が菫を前にして感じた思いを、読み手はこの句を前に推し量ることができる。一つの正解があるわけではないから、小学生は小学生の、八十歳なら八十歳の観賞ができる。実は、これが脳科学の見地から理にかなっていることである。限られた文字の背後に限られない世界を探ることは、限られてない自分を感じることであろう。

言語再生の技術

山路を来てなにやらゆかしすみれ草 芭蕉
一瞬の自然の移ろいを感知している芭蕉という人間性のほかに何もない。しかし、山道のすみれに己の詠嘆を「なにやらゆかし」と預けたことを起点とし、その背後に芭蕉の人生の映し鏡ともいうべき世界が広がり始める。「何もない」からこそ「すべてがある」という反作用の法則が名句においては成り立つという文学の実に宇宙的なところだ。
—-言語から日常の意味をいったん洗い落とし、その語が生まれたばかりの場に、立ちかえり、原初の輝きをもとめる、いうなれば俳句は「言語再生の技術」である、
—-「今、ここ」から一瞬のうちに通り過ぎていってしまう感覚を記憶に留め、言葉によって顕著かするというまさに「クオリアの言語化」が、俳句という文学なのである。

黛まどかのことばと俳句の心得

  • シャンプーをしている時に俳句がひらめくんです。
  • 「一句できた!」という瞬間は、他の喜びに代え難い。一句できるまでの苦しみがなければ、真の快感は得られない。
  • 俳句の初心者は「歩きましょう」、はっとしたものがあったら足を止め、それが小さいものだったら「屈みましょう。」
  • うまい俳句を詠むとかよりも、俳句を生きることの方が、大きな課題かもしれません。
  • 言葉の上では十七音節しか書きませんが、あとのことは余白に漂っているのです。
  • 俳句は厳しい約束事の上に成り立つ表現方式です。型のしばりがあってこそ俳句です。
  • 私は「俳句を楽しみましょう」と同時に「俳句を苦しみましょう」と言っています。その方が質の高い喜びになります。
  • 名句に共通するのはみな”切れている”ということです。芭蕉の「古池や…」が「古池に…」だったら、単に風景描写で面白くもありません。「や」で切れて、たしかに幽玄閑寂の世界を見いだしています。
  • 大方の人は、ここで…一句とはいきません。ひらめきには「弛緩と緊張」です。感じたことの言葉を探し、探し続けて、ふっと俳句がひらめくと言っています。
  • 日本人には心に浮かぶ共通の季語がある。だから17音で俳句は成立する。言葉を知ることで見えないものが見えてくる。
  • 俳句は助走がいらない希有の表現形式です。
  • 日常で用いられる言葉は中層水、季語などのポエティックな言葉は深層水に当たるのではないでしょうか。私たちは言葉の海の深層の豊かさを忘れているのではないでしょうか。
  • 俳句を始めてまず気づくのは、ふだん見ているようで見ていなかった、ありとあらゆるものの存在です。
  • 大きな感動を深遠な一句に仕上げてやろうという野心を手放さなくてはいけません。
  • 「型破り」の第一歩は120%型を守ことです。

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