出口汪の『「大宰」で鍛える日本語力』

『「大宰」で鍛える日本語力』:出口汪

どこの書店の大学受験参考書のコーナーにも、出口汪の現代文の参考書が大きなスペースを占めている。私は理系なのでと、言い訳をしているが、日本語を外国語のように文法からシステマチックに学んだ記憶がない。だから外人から日本語を教えてくださいと言われたら本当に困ってしまう。そうかと言って、大学受験の参考書で学ぶのには抵抗があります。見つけたのが、『「大宰』で鍛える日本語力』です。

この本は、太宰治の小説を教材にして、小説に使われた接続詞、助動詞、助詞、重要漢字、キーワードなどを例に摂って、読みながら日本語力が上達する問題集になっています。

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一石二鳥、太宰治がわかる

三択から回答を選びながら、各小説読み進んで行くと、「そうだったのか」と、太宰治が急に見えてくる。それは、出口汪が太宰治の私小説のなかで近似的に事実に近いものを選び、時系列に取り上げているからです。

プロレタリア、非合法な活動、初めての自殺未遂、肌に合わないプロレタリア文学、抜けられない活動、すさむ生活、芸子初枝への憐憫の愛、銀座カフェの田辺あつみと自殺未遂、田辺あつみの死、初枝と結婚、卒業できない東大、遺書としての「晩年」、初枝の不倫、初枝と自殺未遂そして離婚、「富嶽百景」の御坂峠の天下茶屋から新しい人生を再出発、と国語力トレーニングと同時に、どん底で自殺を繰り返す太宰治の秘密が見えてくる。

目次
第一章 接続詞で論理力を鍛える
『思い出』からの出題
第二章 語彙力を豊かにするトレーニング
『苦悩の年鑑』からの出題
『東京八景』からの出題
第三章 助動詞、助詞で正確な日本語を取得せよ
『姥捨』からの出題
第四章 漢字力を強化するトレーニング
『富嶽百景』からの出題
第5章 漢字力を強化するトレーニング
『女の決闘』から出題
第六章 会話問題で論理力を鍛える
『グッド・バイ』から出題