芥川賞作家、藤原智美の『本は一行目から書かなくていい』

『本は一行目から書かなくていい』:藤原智美

本屋で最初の章の始まりを立ち読みした。最初の見出しは「文章の本質は「ウソ」である」だった。小学校3年生、9歳のときに書いた絵日記を、”私が書いた初めて書いた「小説」だった”と振り返っている。

「文章の本質は「ウソ」である」

夏休みの宿題だった絵日記に、私は母と電電公社に行った話を書いて提出しました。電電公社といっても、若い人には通じないかもしれません。電電公社はNTTグループの前進で、正式名称を日本電電公社といいました。略して電電公社です。
その日の絵日記は我ながら力作でした。一際目立つ巨大なビル、ダイヤル式の黒電話が描かれた大きな看板。ひと目でその建物が電話の会社だと伝わる、わかりやすい絵です。文章の欄には、「電電公社行って楽しかった。帰りにデパートに寄った」といった内容を書きました。
実をいうと、この思い出は真っ赤なウソです。
—《中略》—-
いま振り返ると、あの絵日記は私が初めて書いた「小説」でした。—
—《中略》—-
文章の本質は「ウソ」です。ウソという表現にびっくりした人は、それを演出という言葉に置きかえてみてください。—–

面白そうだ。ずっと立ち読みするわけにいかない。買って近くの喫茶店で読み始めた。次の小見出しは「プロはこうっやて文章力を鍛える」で、

「プロはこうっやて文章力を鍛える」

文章をうまく書くヒントをつかむことが本書の目的ですが、ただ一つ現時点でいえることがあるとすれば、文章の上達には、なりふりかまわず打ち込む集中した時間がいる、ということでしょうか。
—《中略》—

一日一万歩歩くと健康によいといわれていますが、何度かにわけて歩き一万歩を達成するのと、しっかり八十分間歩き続けて一万歩達成するのでは、どちらが熱量を消費するか。正解は後者です。
文章にもこれと似たところがあって、文章だけ向き合う時間を集中して過ごしたほうが、ちょこちょこ書くより、ずっと文章が鍛えられます。しかもその時間は何か追い立てられいる緊張感の方がいい。

藤原智美は大学を卒業してすぐに週刊大衆』のライターとして仕事をもらい、プロとして文章力を鍛えられたいっている。自分の経験、引用を交えた説明はエッセイのように読める。

ビジネスの文章からメール、ブログ、Twitterまで、上手な文章を書くためのテクニックが散りばめられている。

喫茶店でタバコを吸うのも忘れて読み終えた。もう何回か再読してみよう。

目次

目次を見れば、読んでみたくなるでしょう。

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