『大人のための文章法』:和田秀樹

『大人のための文章法』:和田秀樹

著者は東京大学医学部卒業の精神科医です。『大人のための勉強法』、『学力崩壊』など多数のベストセラーがあります。著者は「もともと私の話は説明が長いようだ。」と言っています。たしかに説明は少し長い。でも、「文章法」の読み物として、気楽に読み進めます。読みながら私がマーキングした、序章の一部を引用要約して紹介します。

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日本の国語教育について述べている。

日本の国語教育は、情緒的な文章が読め、心情理解ができて名文が書けるるというのが目標になっているように私には見える。学生時代に書かされた読書感想文にしても、読んだ本に書いてある内容をまとめるだけではだめで、自分の感情が表現できないといけないと叱られたものだ、実際、こういうことが長らく国語教育の目標とされてきたが、これでは国語というより国文学教育である

私も、この夏に小学三年生の孫の「読書感想文」の面倒を見て、思いました。小学生に大切なのは、感想文ではなく、まずは要約力ではないでしょうか。

著者も文章を書くことを逃げていた

私自身がもともと文章が書くのが大嫌いで、文章を書くことから逃げていた。その頃の気持ちのままであれば、おそらく本を出すチャンスを何回となく逃していただろう。文章を書けることがどれほど私にとって救いになっているか、本当に筆舌に尽くしがたいものがある。

いまのレベルの知識や知力が維持できるのは

よほど物知りと思われているようだが、実際はむしろ逆である。本を書くからいろいろ調べものもするし、人から話も聞く。

最初の挑戦シナリオコンクールへの応募、書く恐怖がなくなった。

コンテをしっかり作ってから書く手法

国語は苦手な教科だった。そんな私も中学生のとき、突然「小説家になりたいと」思い立った。ところが、実際に書いてみるとやはり書けない。一行目が出てこない。筒井康隆の小説を読んで、「こんなにイマジネーションがなければ小説家になれないのか」と痛感し、あっさり断念する。
高校生になって見た映画に触発されて、映画監督を夢見る。そんなとき日活がロマンポルノ新人シナリオコンテストを行っていた。受験の合間に、原稿用紙130枚程度のシナリオを書いて応募した。結果は惨敗である。しかし、この体験は「ある種の書きものであれば、文章力がなくても作文が下手でも書けるのではないか」とおぼろげに感じることができた。このとき学んだ「コンテをしっかりつくってから書く手法」が、いまの長文作成のテクニックなっている。

文章は表現能力やテクニックよりコンテンツが大切

人は文章のテクニックを読むのではなく、コンテンツを読んでいるのである。

文章の型を身につけるのが大事

つまらない文章になることを気にせずに、とりあえず型を身につけることから始めるべきだ。

わかるように書け

文章を見るプロである編集者から要求されたのは「わかるように書け」、そのために「徹底的に情報を盛り込め」ともいわれた。読者が知りたいのは情報が優先。

紹介は序章の極く一部です。

本の目次

序章 逃げているかぎり文章はかけない
第1章 私の文章修業
第2章 いい文章を書くための発想法
第3章 コンテを活用した文章の書き方
第4章 「和田式」文章テクニック
第5章 ベストセラーを量産する方法
第6章 プレゼンテーションへの応用
第7章 知識の集約と出力の仕方
終章 書ける人間が生き残る時代